ヒゲニートへの道 p.50
かくして、4月20日付をもって正式に退職
職を失い
ちょっとしか生えてこないヒゲを一生懸命生やし
私はヒゲニートになった
その後、フィリピン留学を通じ、オーストラリアでのワーホリスタートで、今に至る
現在こちらでの生活を始めて3ヶ月経つが
思ったよりカルチャーショックもないし、自分自身の価値観も変わっていない
これはネット上で沢山見てきた人々の反応や、実際にこちらで話した日本人のそれとは、やや感覚が異なるようだ
たしかに、これだけの多文化・異なる価値観が入り混じる環境は初めてだし
日本と、日本人と、違うなーと思う事が沢山ある
ただ、他の多くの人が言うような
「人生観が変わった」
「周りを気にしなくなった」
「性格・価値観が変わった」
という事は、ほとんどない
これは良い誤算だった
学生や社会人なりたてで来ていれば、カルチャーショックを受け
良くも悪くも「オーストラリア最高!」と簡単に影響され、自身がここに来た事の正当性を最大化しようと、「日本なんて息苦しいから、海外しかあり得ない!」みたいな価値観になっていたかもしれない
価値観の変化や「違い」の許容
日本の良さ悪さを他と比較し、噛み締める事
これは幸い、ワーホリに来る前に済ませてきたようだ
もちろん毎日、新しい発見や学び、違いとの接触だらけではある
ただ、それに対する私の態度が、5年前とは明らかに違う
これを感動が少ないと思う人もいるだろうが
私は良かったと思っている
日本も大好きだし、メルボルンも大好きだ
ネパールも、フィリピンも、明日から引っ越せと言われれば問題なく住める
いくつか東南アジアの国に行った経験も、コーチングと出逢った事も、感謝を大切にするようになったのも
様々な大小混ざった変化の積み重ねが
より中性的やモノの見方を可能にし、受け入れ、順応しやすい解釈に繋がったのだと思っている
何より
うーん日本も好きだしこの国も好き
とポジティブに捉えられる事と、実際にフィリピンとメルボルンどちらも3ヶ月住んでみて…問題なくずっと住める
否、
日本だろうが海外だろうが、大抵は住めば都だが、どこにも一生レベルで定住はしたくない
今はそんな価値観だ
残り9ヵ月を通じて、どうなるか
ワーホリを終えた後にどんな仕事をするのか
興味がある事は山ほどあるが
具体的なプランは明確になっていない
面白いのは、日本では必ず将来・今後の事を聞かれるが
日本人以外はほとんど聞いてこないし、聞くと答えを持っていない者が多い
「何も決めない事だけ決める」
ワーホリ決断時の目標だが
終了後の経済面や結婚等を考えると、現実的にそうも言っていられない側面もある
だがやはりこちらに来て感じたのは
「未来を決めない」って最高にワクワクするし、旅するように、ちゃんと自分の人生を生きている実感が持てる
「未来を決めない」
は無計画や無謀と同義ではない
現時点で選択を絞らず、来たる未来の直感や御縁
これをすかさず掴みに行く選択が、いつでも可能な準備をするという事だ
特に家族がいれば、簡単な事ではない
でも、私は「家族も安心して未来を決めないでいられる」そんなライフスタイルを築けたら最高だと思っている
ヒゲニートなりたてと、半年経った今で明確に異なる事がある
それは、「やりたい事」より「ありたい菅谷」が以前より明確になった事だ
以前は「何」をするか?ワーホリ終わったらどんな仕事をするのだろうか?
「コト」に焦点を当てていた
だが、今の私にとって大切な事は
「誰」と「どう」あるかだ
仕事も、住む所も、お金も、
自分のありたい姿・やりたい事のための、手段に過ぎない
人生=時間だ
限られた可処分時間をどう使うか
人生は極論、その組み合わせであり、構成比だ
仕事もお金も、可処分時間をどう使うかのツール
もっともっと沢山の違いを知って
「えー!すげー!」という驚きや感動よりも
もっとジワーっとした幸せや無知を知る楽しさ
そんなものを大切にしながら、旅するように人生を生きていきたい
映画ボヘミアンラプソディで最高にシビれたセリフがある
「I decide who I am」
「オレが何者かはオレが決める」
私と未来の家族の人生に100%責任を持って
自分だけの人生を、自分自身で決めていきたい
おわり