ヒゲニートへの道 p.39
1年も前に
「退職してワーホリ に行く」と打ち明けたのには、理由がある
1つは、前述の通り
お世話になって一緒に頑張っている上司と先輩には、いろいろ決めた段階できちんと自分の考えを伝えたかった事
そしてもう1つは、会社全体に対して自分なりに迷惑を最小限にしたいという思いだ
私は、あまり物事には執着しない
物凄く好きだったり愛着があっても、執着はしない
と書くと矛盾しているようで、上手く表せないが
その時にとても大事だったり愛着があっても、一旦離れたら執着せず手放すという感覚だろうか…
ともかくそんな性格なので、何の未練もなくスパっと辞めてケロっと海外に行く
自分自身で、そんな奴だと思っていた
だが、いざ退職を決めて
上司と先輩にも話そうと考えた時
浮かんできたのは、会社への恩・感謝だった
もちろんお世話になった1人1人への想いはあるが
それが積み重なり、「会社」になるべく迷惑を掛けず、恩を返せる形で辞めるには
辞めると言いながら身勝手ではあるが、そんな考えが頭を巡っていた
入社3年間後のジョブローテーションで、販売会社の本社へ来た
いわゆるメーカーのブランド系や宣伝広告系のマーケティングへの異動はよくあるが
細かく分社化していたグループで、販売会社のマーケティングには20代が1人もいなかった
割と新しい部署というのもあるが、他の部署含めてもフロアには20代が1人もおらず
あまり例のない異動だったので、受け入れ側も正直困っただろう…
そんな事もあり、ひたすら議事録をとる事から始まり、自由に多くの事に関わらせてもらって実に4年間
気が付けば「些末な事で何か困ったら、とりあえずあいつに聞いとけ」と、浅く広い何でも屋になる事が出来た
その過程で、本当に沢山の人と関わりを持ったし
多くの人に可愛がってもらえ、飲み会やフットサルで知り合い、その後仕事で関わった時にはとてもスムーズに気持ち良く…なんて事も多かった
組織的には旧態依然とした所や、自分が経営者だったら大企業のジレンマで頭を抱えるな…なんて妄想をした事も多かったが
仕事するうえで関わる個人は、直接でも顔が見えないメールだけでも、本当に良い人達が多く
一生懸命に仕事ができる環境だったと、今振り返ると思う
文字面の良い感謝だけ綴って、ネガティヴな事を隠すのは気持ち悪いので
もちろん
「ふざけんな!」
「理不尽だ!」
「(目上の人に対しても)この野郎!」
と思う事は何度もあった
ストレスを感じにくい自分でも、会社に行く事が嫌だったり、ストレスが溜まっていた時もあった
だが、思考停止して「早く終わらないかなー」と作業だけ淡々とこなす日は、ほとんど無かったように思う
共に仕事をする相手の事を考え
常に生産性を上げられないかと頭を使い
ちょっとした会話で笑ってふざけたり
非常に心地良い人間関係と自分のペースをコントロールしやすい環境の中、仕事をさせてもらった
本当に沢山の部署、人と関わり
総じて「その人たちのために頑張る」「恵まれた環境」という感覚が、常に心のどこかにあったからこそ
自己都合で辞めるけども、身勝手ながら自分なりに「会社のため」を考えたい
そんな風に思えたのだろう
そこでまず考えたのが、異動のリスクだ