ヒゲニートへの道 p.42
忘年会で動画制作を嬉々としてやりながら
あんなに喜ばれ、楽しまれた感覚は忘れられない
当たり前だけど、人は「好き」や「得意」に集中した時に力を発揮できるし、誰かに喜ばれた時の嬉しさも増す
ただ、自分は何もこれを退職前の忘年会で初めて知ったわけではない
今振り返れば
本社に来てからというもの、自分はずっと「好き」「得意」にフォーカスしてきた
言われて嫌々、誰がやっても同じような仕事は、ほとんどなかった
正確にいえば、その手の業務はあったが、そこに自分の工夫を加えたりルールを変えたり、新たに作ったり…
そういう自分ナイズが出来る環境だったし、良い案だと認められれば全国に適用できるような立場でもあった
そんな恵まれた環境で
仕事を通じて、いくつか自分の「好き」「得意」を伸ばす事ができた
この会社で、この環境で、仕事ができて本当に良かったと思える要素の1つだ
特に「好き」「得意」を伸ばせたのは
文章を書くこと、Excel、そして仕組み作り
少し細かく、この3つに触れていきたい
文章については、学生の頃から何となく書く事が好きだった
mixiが流行っていた影響かもしれない
中学生まで作文は大嫌いだったし、日記の類もNGだった
高校から大学にかけてmixiが流行り、また携帯iモード全盛期で、2chやくだらない面白サイトにハマった
「文章でふざける」
最初はここから始まったのかもしれない
高校時代はメールアドレスを変更する度に、架空請求やドッキリのふりをして、最後に「実はただのアド変でした」という気持ち悪い事をしていたり
なぜ好きで得意かは考えた事もなかったし、自覚も一切なかった
むしろマンガが好きなので活字は苦手という意識だった
あれ、自分は書くのが好きで得意かも?
初めてそう思ったのは、本社に来て最初の仕事
「議事録」だ
とにかく会議が大きく、当時は何の人かすらよく分からない偉い人たちが集まり、丸1日会議する中に混ざってひたすら議事録
なんて事が沢山あった
当然、分からない単語も沢山出てくる
文脈から判断したり、先輩に聞いたりしながら、議事録作成を通じて会社の仕組や流れ、何が論点で会社はどこに向かっているのか…etc
沢山の事を学べた
「議事録」と書くと下っ端の瑣末な仕事のようにイメージしてしまうが
意外な事に、この仕事が全く苦痛でなかった
それを通じて会社への理解が深まるのはもちろん、どんどん咀嚼力が高まったし、文章力もスピードも向上した
後から議事録を見た人が使いやすいよう、フォーマットから書く要素まで、いろいろと工夫するのも面白かった
そして異動後1ヶ月も経たない頃、議事録をものすごく褒められた事を覚えている
自分の「議事録」という仕事に対する態度、そして他者からの評価から
あー、文章を書いたり要約して言語化するの、好きで得意かもしれんぞ…
初めてそう自覚したのである